チェルシーフラワーショー2024現地レポート「庭園づくり開始」
渡英した当社社員の3名。ロンドン中心部の南西に位置するチェルシーは、時折り見せる青空と英国特有の気候から、連日ぐずついた天気に見舞われた。そんな中、現地ではさっそく庭づくりに向けて準備を開始。石原和幸氏の指揮の下、チェルシーフラワーショー(以下、CFS)に参加経験のある約20名の職人たちに混じって当社社員3名も動き出した。
石原先生と職人さんたちの関係性を肌で感じて、あるべきリーダー像を垣間見ました。
井上翔太(チーフプロデューサー兼チェルシープロジェクトリーダー)
現地についてから、5月3日までは庭づくりに必要な樹木、植物、石などを現地で仕入れる作業を行いました。3日からCFSの会場がオープンし、いよいよ庭づくり開始です。毎日、宿舎を6時くらいに出発して作業をしています。
私はとにかくやれる作業はすべてやるつもりで石原先生の指示を仰いでいます。そこで気づいたのは、職人さんの作業のクオリティやスピードが想像以上にハイレベルであること。そして全員が石原先生の思い描く完成形をイメージできていること。また、職人さんたちの信頼関係が強いことも分かりました。より良いものをつくるため、お互いの技能や経験をリスペクトしあっているのが伝わってきます。いろいろな指示を正確にすることだけが、リーダーシップではないことをあらためて実感。強いチームワークを生むための良いヒントになりました。
また、他のガーデナーの庭づくりと比較して、石原先生の庭づくりのプランニングが違うことにも気付きました。まず全体を形づくり、そこから細部を詰めていくやり方。他のガーデナーは作業ひとつ一つを完成させてから次のステップに移す方法を採っているように感じました。どちらが正解というわけではないと思いますが、このやり方の違いも勉強になりました。
「失敗してもいいからやってみろ!」職人さんに言われたその言葉に感動。気持ちがさらに引き締まりました。
島涼太(諸戸組 棟梁リーダー)
私は大工作業をメインで担当させてもらっています。庭にはガレージとリビングがあるので、それをつくるために木造し、壁や天井を張っていきます。限られた大工道具でつくっていくのは、とても難しいです。私は新築しか経験がなかったため、たとえば柱が真っすぐでないものに対してどうするのかなど、ノウハウが足りないと痛感しました。
作業は職人さんと一緒に進めているのですが、実務以外の話をすることもあり、それがとてもためになっています。たとえば、山を切り崩して寺院をつくるときの話。その山に生えている樹木を建築資材として活用するのですが、北側に生えていた木は寺院の北面に使用するというのです。もちろん、他の面も東西南北を意識し、樹が生えていた方角に揃えるそうです。さらに樹木の年輪を見て使用する際に向きにも配慮すると聞き「そんなことまで気を遣っているのだ」と感心。また、足りない道具はその場で自作するなど、その対応力にも脱帽しました。そして「失敗してもいいからやってみろ!」と言われたときは、心が震えました。みな時間のない中、奮闘しているのにそんなことを言ってくれるなんて。職人さんたちの善意を絶対に無駄にできない。さらに気持ちを引き締め、これからの作業にあたりたいと思いました。
職人さんたちともっと話がしたい。彼らの技能や経験について学び、自分の糧にしたいと思いました。
濱畑かい(諸戸組 棟梁)
私も井上と同じくできることは何でもやりますという姿勢で臨みました。庭づくりには大きな石や大量の土・砂など重いものや大きなものを運び入れます。その作業を行ったり掃除をしたり、とにかく大きなことから細かなことまで何でもやっています。
作業をはじめて気づいたのが、石原先生と職人さんたちの関係性。最初はお互いにプライドを持ったプロフェッショナルなので、作業も喧々諤々と議論をしながら、ときに衝突することもあるのかなと思っていたのですが、実際はそうではなかったです。たとえば、せっかく植えたモミジの樹の見え方が良くないと判断し、植える角度を見直すことになったとき。職人さんの中には反対意見も出るはずと思っていたのですが、その指示に対してみんなで力を合わせてすぐに実行したのです。石原先生のダメだと思ったらすぐに調整する実行力と、職人さんたちの石原先生に対する信頼感がすごいなと思いました。
私は現場の職人さんたちからいろいろと学びたいと思ったので、積極的に話しかけ、彼らの知識などを吸収していこうと考えています。