チェルシーフラワーショー2024現地レポート「庭園づくりも佳境へ」
石原和幸氏のチームは大まかな庭づくりを終え、細かな部分の作業に入った。仕上げに時間をかけて、よりクオリティーの高いフィニッシュに向けて動き出しました。また製作段階も審査の対象となり、現場運営や清掃、ゴミ対応などの管理状況、スタッフの作業時間なども厳密に決められており、世界一のフラワーショーならではの厳しい目線で審査員がまわっています。チェルシーフラワーショー(以下、CFS)もいよいよ佳境に突入である。
トラブルが起きてもその場できる最大限の努力で、最適解を導き出す姿勢を学びました。
井上翔太(チーフプロデューサー兼チェルシープロジェクトリーダー)
一流の職人が集まる私たちの現場は、他のチームよりも順調に進んでいます。しかし、異国の地での作業は普段ではおきない様々なトラブルが発生します。予定したことが中々できない日々も。それでも培った知恵や経験から、その場でできる最大限の努力で最適解を見つけ出す姿勢の大切さ学ばせていただいております。世界的デザイナーの石原先生の言動・行動の一挙手一投足を見逃さず、職人さんのサポートをしています。
現在は壁などに植物を取り付ける担当しており、一人で作業にあたっています。信頼関係が築け、世界一を目指すチームの一員としての実感が湧いています。
CFSの会場は重機やトラックが通ったりして、かなりごった返していますが、全体的には和やかな雰囲気。他チームもライバル意識を燃やしてピリピリしているのではなく、私たちの庭を見て「これはどうやっているんだ?」とフランクに質問してくることもあります。資材の貸し借りもあって、隣のチームが持っている石を借りたら、お礼に苔を持っていったり。参戦しているチームのみんなは庭が大好きで、お互いをリスペクトしあっているのが伝わってきます。
細部にまで手を抜かない、こだわりの詰まった作業を経験しています。
島涼太(諸戸組 棟梁リーダー)
携わったガレージリビングにはタイルを使用するのですが、全体のアンティーク感を出すためにタイルは新品を使わず、あえて中古品を選んでいます。それでも雰囲気が出ない場合は、タイルに色を塗ったり、泥で汚したりして経年感を加えます。自然植物との調和を大切にしつつ、実際の生活感を出すため、こんな部分にもこだわるんだと感心と同時に勉強にもなりました。
現在は大きな作業から細かな作業に移行し、コツコツ進める仕事が増えてきました。大工作業以外の作業にも挑戦し、いまは苔を設置していく作業をしています。1つの苔は人の拳くらいの大きさなのですが、それを注意深く観察し、細かなゴミなどが付いている場合は、ひとつ一つ手作業で取り除いていきます。色や形のいいものは目立つ場所に置くなど、大工仕事にも繋がる学びになっています。
日々の生活についてですが、私たちが暮らしているのは石原先生が借りた10部屋以上ある大きな一軒家。そこで共同生活をしています。職人さん達が最高のパフォーマンスを毎日送れるよう、日本から専任の料理人が付いてくださり、3食とも日本食や現地の食材を利用した手料理が味わえます。陰の立役者のおかげで、庭づくりに集中できています。
周囲を見渡し、隙があれば教えを乞う積極さが増しました。
濱畑かい(諸戸組 棟梁)
世界一の庭づくり現場で、一歩前で挑戦する積極性の大切さを学んでいます。 庭が完成に近づいてくるにつれ、立ち止まって写真を撮っていく人も増えてきました。 これまでは体力を活かして石を運んだり、土を掘ったりと、形造る作業がメインでしたが、今は苔の手入れや階段・花壇の立ち上がりに使う石の加工などを主に行なっています。
チーム石原の庭は他のチームよりも工程が早く、完成してからはとにかく仕上げで圧倒的なクオリティまで高めます。 その間、植物も環境に馴染んでいき、表情を変えていきます。この時間があるからこそ、高いクオリティを生み出していると感じます。だからこそ早く完成させることが重要となります。 このスピード感に負けず、とにかくなんでもチャレンジしつつ、 現場監督で得た経験を活かして職人さんたちといい関係を築きながら新しいことを吸収しています。
自分の中で遠慮は禁物。常に一歩前への挑戦を心掛けています。