こんにちは。ボルドーの内田です。
すっかり夏になりましたね。
こちらでも日中は30℃を超えるようになってきました。
しかし、先日、ボルドー市内とその近郊で何十年に一度というひどい雹が10分間にわたり降ったことで、コニャックやマルゴー南部そして、ボルドー右岸地域といったブドウ産地の畑が大打撃を受けました。
酷いところはまるで真冬の畑のようにすべての葉が雹による衝撃で落ちてしまい、今年の生産はもう難しいという有様です。
幸いにも私の畑は被害を免れましたが、実際に被害を見ると、胸が締め付けられるような思いです。
◇ワイン造りの新しい風
南フランスのニームで、酸化防止剤無添加のワイン造りをしている、学生時代からの親友とその友人のワイン生産者たちが試飲会をするということで、車で6時間半かけて行ってきました。
建物が周りに何もない広大な南フランス独特のゆったりとしたブドウ畑のど真ん中で、大木の木陰をテント代わりに樽のテーブルを並べ、一日だけのレストランもあったり、非常に彼らしく、居心地のいい空間でした。
集まった生産者たちは、BIO、BIODYNAMIC、自然派ワイン、と、それぞれにしっかりとした哲学を持った中で信念に基づいたワイン造りをしています。
私もそうですが、ほとんど農薬を使わないブドウづくりを実践しているため、その年のワインの出来栄えはテロワールによるものが大きく、そのため、より厳しい条件でのワイン造りとなります。
実際、主催者である友人の畑も、今年の長雨の影響でかなりの面積がベト病に侵されて枯れてしまっていました。
葉の中にまで浸透する強い薬を使わないからです。
それでも、彼らのワインは、まるで人柄をそのままワインにしたような、柔らかく、優しく、より果実味が活きた、まるで太陽を感じるような本当においしいワインなのです!
そういった味わいのワインは実際、フランス国内では新しく求められている形と言えます。
日本でも少なからず影響は及んでいるようです。
グランクリュも、もちろん素晴らしいものですが、こういった小規模だからこそできる伝統的なワイン造りを良しとする風潮は歓迎すべきことのように感じます。
さて、今回を持ちまして私のコラムも最終回となりました。
つたない文章でしたが、フランスやワインの魅力が少しでも伝わりましたでしょうか?
ぜひ、今後ともワインを楽しんでくださいね!