Appointment お問い合わせ
活動報告

チェルシーフラワーショー2025現地レポート「庭づくりも佳境へ。より良く、妥協せず。」

チェルシーの日中の気温は汗ばむほどだが、
朝晩は冷え込み寒暖差が激しい時期。
石原和幸氏(以下、石原先生)がエントリーする「ショーガーデン部門」の製作は、
庭のメインとなる6mほどのモミジの巨木がなかなか到着せず、ヒヤヒヤさせられることも。
5月9日からは石原潤氏(以下、潤氏)の「コンテナガーデン部門」の製作がスタートし、
諸戸組の本領を発揮するときがきた。

コンテナガーデンの造作物はじっくりとこだわって製作。職人作業を体感することで、現場監督の仕事に活かす。

島 涼太(諸戸組 棟梁リーダー)

いよいよコンテナガーデンの製作が始まりました。コンテナガーデンが私たちのメインの仕事になるのですが、石原先生のショーガーデンも手伝いをするといった感じで進めていきました。その中で驚いたのは、庭のメインである巨大なモミジを植えたのですが、それを使わず抜いてしまったのです。石原先生いわく、メインだからといって囚われず、庭全体のバランスを考え、樹を活かすのではなく、空間を活かすためでなくてはいけない。客観的な広い視野と信念を感じた瞬間でした。
コンテナガーデンでは主に屋根や庇、ベンチ、カウンターなどの造作物をつくりますが、実は他の3人が来る前に、主要な部分はほぼできあがっていました。ショーガーデンの進行が順調だったこともあり、コンテナガーデンの準備をしてしまおうという話になりました。他の職人さんから色々なアドバイスをもらい、材料と材料を結合させるときは、単にビスで固定するのではなく、溝を掘ってはめこみ、固定する方法を採るなど、かなりこだわって製作しました。メンバーみんなでつくりたかったのですが、準備をしっかりとした上で時間も取れた分、じっくりとこだわって製作できたのは良かったです。
大工仕事を終えた後、乱貼りにも挑戦しました。乱貼りとは地面に不定形の石を貼っていく外構工事の施工方法です。大判の石を割り、削ってモルタルの下地に貼っていくのですが、これがけっこう難しい!実際にやってみるとなかなかうまくいかず、すごく時間がかかりました。
庇の製作や乱貼りなど、普段できないことを体験することで、職人さんの苦労とこだわりを痛感。より良い家づくりのために、この経験は普段の現場監督の仕事にも生かしていきます。

設計図が正解ではない!常に「もっと良くするためにどうすればいいのか?」を考える。

濱畑 かい(諸戸組 棟梁)

先発で入ったメンバーがコンテナガーデンの大工仕事をほぼ完成させていました。私たちはスレートで屋根葺きをしたり、ベンチやカウンターの製作、エイジング加工を担当。ベンチやカウンターのデザインは特に決まっていなかったため、しっかりと強度の出る方法を考え、つくっていきました。エイジングはきれいな木材をハンマーでたたき、石で削るなどして年月が経ったような加工を施し、雰囲気を出していきました。
イレギュラーなこともありました。当初、庇には何も付けない予定でしたが、全体のバランスを見て急きょ、ペンダントの照明を付けることになりました。そのようなときでも臨機応変に動き、その状況下でベストなものをつくり上げていく姿勢が大切になります。設計図があるとその通りにつくればいいと思いがちです。しかし、実際は現場でつくってみないと分かりません。どんなに入念な計画を立てても、その通り行くとは限らないのです。設計図は重要ですが、ときにはその通りにつくるのが正解ではないことを実感しました。これは実際の仕事をする上での大きな学びになりました。設計図通りつくって満足するのではなく「もっと良くするためにはどうすればいいのか?」を考え、さらにワンランク上の仕事ができるようにしていきたいと心に誓いました。

石原先生の強い決断力と、先生を信じる職人さんの気持ちに感動!

菅 嘉孝(諸戸組 棟梁)

自分の手が空いたら周囲を見渡し、少しでも手伝えることを探して積極的に仕事をしています。左官やモルタル、植栽の手入れなど、普段しない仕事にもチャレンジし、自分の経験値を上げています。
ショーガーデンの作業をしていて、石原先生の自由な考え方と軸のブレない意志の強さを感じた場面がありました。庭のメインとなる6mほどの巨大なモミジがなかなか到着せず、現場は少しザワザワしている様子でした。遅れながらも無事到着して植えることができたのですが、石原先生はこの樹が空間を潰してしまうと考え、なんと抜いてしまったのです! きっと先生もこだわって選んだ樹でしょうし、おそらくコストも相当かかっているはずです。それにも関わらず、メインを外すという決断ができるのは、本当にすごいことだと思いました。また、その決断に職人さんたちも快く作業していたことも、強い信頼関係があってこそだと実感。職人さんたちは、石原先生の判断なら良くなるに違いないと納得して作業をしているのだと思います。
この関係は実際の仕事でも同じだと思いました。私たちはプロデューサーの想いを形にするのが仕事。プロデューサーとイメージを共有し、その家にどんな想いを込めているのか。それを理解し、理想の家を実現するために何が必要かを深く考える大切さをあらためて実感しました。

謙虚な姿勢を持ちつつ、自分の芯もブラさない。この絶妙なバランス感覚の大切さを学んだ。

杉山 貴紀(シニアプロデューサー)

島や菅も話してくれましたが、ショーガーデンの石原先生の采配は、私も本当にすごいと思いました。実際、私の業務でも似たようなことはあります。たとえば、発注した天然石の色味や質感がイメージと違った場合。もちろん状況によってさまざまな対応を取るのですが、その家に対しての想いが実現できないのであれば、こだわりを貫き通すことが必要です。石原先生の行動や判断を見て、世界で戦うにはこのような強さが不可欠なんだ、と実感しました。
コンテナガーデンでは潤氏から謙虚さと芯の強さを学びました。石原先生のショーガーデンと潤氏のコンテナガーデンは場所的に近いため、石原先生がときどきコンテナガーデンに足を運び、潤氏にアドバイスをしていました。潤氏には彼なりのイメージがあるので、本当はそれを突き通したいはずですが、石原先生のアドバイスを謙虚な気持ちで聞き入れ、反映されていました。ただ、アドバイスを受け入れてばかりでは、軸がブレてしまいます。謙虚に受け入れる気持ちと、自分の軸をブラさない強さ。その両方が必要であることをあらためて実感しました。私の家づくりにおいても、自分の想いやイメージは大切にしつつ、謙虚な姿勢で助言を受け入れ、自身の幅を広げていきたいと思っています。

  • 20250515chelsea_18
  • 20250515chelsea_1
  • 20250515chelsea_5
  • 20250515chelsea_7
  • 20250515chelsea_6
  • 20250515chelsea_8
  • 20250515chelsea_10
  • 20250515chelsea_17
  • 20250515chelsea_3
  • 20250515chelsea_12
  • 20250515chelsea_4
  • 20250515chelsea_13
  • 20250515chelsea_11
  • 20250515chelsea_14
  • 20250515chelsea_15
  • 20250515chelsea_16

最新記事